学校の校庭や街路で、想像以上に大きく育った木を見かけることがあります。「どうしてこんな大木をここに植えたのだろう?」と、不思議に思います。実はこれらの多くは、昭和期に植えられたものです。メタセコイヤ、ケヤキ、カエデ、ポプラ、イチョウなど──いずれも成長が早く、巨木になる樹種ばかり。では、なぜ当時このような落葉樹が数多く植えられたのでしょうか。理由を考えてみました。
理由1―国を挙げて「緑化」が推進された
戦後の復興が進み、高度経済成長期を迎えた昭和。都市の緑を取り戻すことが社会全体のテーマとなり、街路樹や校庭の植栽が全国で一気に進みました。その中で、樹形が美しく成長も早いメタセコイヤやケヤキなどが“緑化の象徴”として重用されたのだと思います。
理由2―街のシンボルとして期待された
真っすぐに伸びるメタセコイヤや、堂々と枝を広げるケヤキは並木として存在感があります。
「新しい街並みを美しく彩りたい」
「子どもたちの成長を見守るような大きな木を校庭に」
そんな想いから、あえて巨木になる樹木が選ばれていました。
理由3―管理に関する知識が乏しかった
昭和期当時は、木の将来の大きさや管理の負荷について詳しく共有されていない時代でした。“木は大きく育つほど良い”という価値観が強く、剪定や更新伐、老木管理の重要性も今ほど認識されていませんでした。そのため、数十年後にこれほど大きくなるとは想定されていなかったケースも少なくありません。
理由4―季節を感じる教育的な価値
落葉樹は一年を通じて変化が豊かで、春の新緑、夏の木陰、秋の紅葉、冬の落葉と、季節の移ろいを体で感じることができます。子どもたちの情操を育む教材としても重視され、校庭に多く植えられました。
そして現在──樹木の適切な管理とは
近年、老朽化した街路樹や公園の木から枝が落下し、歩行者がケガをする事故が全国で「問題」として取り上げられています。強風や大雨だけでなく、見た目には健康そうな木であっても内部が空洞化している場合があり、突然大きな枝が落ちてしまうこともあります。
幹の空洞化や根元の腐朽、傾きの進行、害虫被害など、これらは一般人には判断が難しく、“見た目が青々としているから大丈夫”とは限りません。樹木のトラブルは、表面化してからでは遅いケースが多くあります。
とくに昭和期から植えられている木々は、見事に育つ一方で、老齢化が静かに進んでいる場合が多いのが現実です。金山林業は、校庭の樹木や街路樹、山林などを適切な管理で、緑を守りながら安全な環境を維持するお手伝いをいたします。

